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厳しい年にいい仕事をしたのは誰? エアステ・ラーゲン・プレゼンテーション その2 カンプタール編

<<前回はエアステ・ラーゲン・プレゼンテーションのさわりでした

 

で、カンプタール、クレムスタール、トライゼンタール、ヴァーグラム、と順に62のエアステ・ラーゲンの畑(正確にはいくつかワインの出ていない畑もあったので、60弱だったと思いますが)の、様々な生産者のワインを黙々とテイスティングして行きました。

膨大な数なので、「目立って良かった、印象に残った」か、「この年の」「各畑の」或は「生産者の」個性が良くでている、か、逆に「この年にどうして?」と感じたものに絞ってお伝えします。(畑名はワインがグリューナーの場合緑リースリングは青で太字表示。☆印は特に素晴しかったワイン)

 

前提として、全国的に日照が足りず雨の多かった2014年ですが、その中でカンプタールは周辺に比べて多少晴天も多く、完熟したワインを造るチャンスは、他産地より若干多く与えられていました。

 

最初のワインはユルチッチのデシャント。レモニーで酸がピンと張り詰め、いい意味でいかにも2014年の味わい。ユルチッチはこれが一番いい出来だったかも。

 

暑く乾いた年でもいい汁気を出すガイスベアクのリースリングは、逆に温度のしっかり上がらなかったこの年にはちょっと線が細いか…。シュトラース側のガイスベアクでは☆ビアギット・アイヒンガーが焦点の合ったミネラルを感じさせてくれた。レンナーはガイスベアク同様冷たくやや平板な印象。

南西向きにレスが深く吹き溜まったようなグループは、この年明らかに不調。

 

16のワインがずらっと並んだハイリゲンシュタインの中で光っていたのは、アイヒンガー(コク、余韻の長さ)、ヒードラー(蜜のニュアンス)、☆ヒルシュ(テンション)。☆シュロース・ゴーベルスブルク(熟度、重量感、ストラクチャー)。

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ヒルシュ バックヴィンテージ・テイスティングを振り返る 最終章 愛好家編

そうそう、忘れた頃のご報告で申し訳ありませんが、前回帰国時のヒルシュの業界向けヴァーティカル・テイスティングの後、夜は愛好家向けお食事会を催したのでした。

 

そこではHeiligensteinの東隣に並びたつGaisbergガイスベアクのリースリングのミニ・ヴァーティカル――プリンセスのプライヴェート・セラーから04, 07, 09を供出――に、ハイリゲンシュタインの03&GVラム06のマグナム、という輸入元エステート・ワインズに在庫のある銘醸ワインを取り交ぜ、シノワのワインに合わせたコース・メニューとともに楽しみました。

 

Heiligensteinの陰に隠れて知名度的には地味なGaisbergガイスベアクですが、お城ワイナリー シュロス・ゴーベルスブルクにとっても非常に重要な畑。その優しい持ち味と、特に乾燥した年に瑞々しさを表現できる唯一無二の個性を感じていただけていたら嬉しいです。味わい的に和食、そして価格的にちょっとグレードを上げたい家飲みに…と、エアステ・ラーゲの素晴らしさを生活に取り入れて欲しい、というプリンセスからのメッセージは伝わったかなぁ?

 

シノワ渋谷店の個室の高い壁面が思わぬ迫力の大スクリーンとなり、お料理とワインのマリアージュ具合も最高! 初対面の方もいらしたのですが、オーストリアワインについての様々なご意見やご質問もいただき、とても充実した時間でした。

そうそう、Zaltoツァルトー対Riedelの、ともにオーストリア産グラス対決も面白かったですね。旧友でアカデミー・デュ・ヴァンの超人気講師であるKさんから「カリガラス(ZaltoやLobmeyr)は、ワインの味わいに縦に垂直な伸びを与え、鉛クリスタル(Riedel)は横の膨らみを与える」という解説をいただき、実際味わいがその通りなのにも感心。

 

ご参加下さった皆さん、シノワの皆さん、本当に有難うございました!

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ヒルシュのバックヴィンテージ・テイスティングを振り返る その4 業界向テイスティング 後編

セカンドフライトはカビの害の多かった08年のラム、そしてハイリゲンシュタインを09, 07で比較し、09についてはガイスベアクとも水平比較する、という趣向。

そしてサードフライドはラム06、ハイリゲンシュタイン03、ガイスベアク06、と何故か暖かい年のグレートヴィンテージと、酷暑の痕跡をリリース当初は酷評された年…と暖かい年ばかりのオールドヴィンテージ・フライトと相成りました。

 

こうして書くと「いかにも」そのように企画したかのように自然に聞こえますが、かき集めたワインから、なんとか筋道を立てるべく、畑毎にやろうか、品種毎に並べようか…、つまりミニ垂直を連ねるか、ミニ水平を連ねるか…と、ジグゾー・パズルのように前々日にフライトを組み立てたプリンセスの苦悩を、ここは偲んでいただきたい : )

 

驚いたのは、オーストリアマーケティング協会のサイトから拝借したヴィンテージ・チャートの画像を映し出した瞬間、あちこちで携帯カメラのシャッター音やフラッシュが炸裂したこと。実はプリンセス、このテのチャートがいかに実際のワインの品質や性質を反映しないかの見本として、使っていたのですが…

 

評価があてにならない実例を2つ挙げておきましょう。

点数低めの08は、確かにカビの害の多い、ブドウを育てるのが難しい年ではありましたが、選果をしっかりするワイナリーにかかれば、多めの雨によって根にたっぷりと取り込まれたミネラルが土壌個性をひと際よく映す、果実味よりミネラルの勝った、実に通人向けの味わいになっています。この日のGV ラム 08のように…。

プリンセスも含めたメディアが酷評した03にしても、実際リリース直後は熱苦しさの痕跡がありありで、どうしても好きになれなかったけれど、そして今でもリースリングとしては異例に酸がおだやかで、正直オーストリアン・リースリングの典型とは言えないけれど、10年を経てそれなりのいいバランスになっていました。不評の03をとっとと市場から引込め、昨年になってようやくリリースしたワイナリーの英知を称えたい、と思います。

 

最後に、その03年についてあと2点、記しておきたいことがあります。

ひとつは、03という年は、夏の猛暑とは一転、秋から晩秋の気温は近年で最も低く、初雪も最も早かった年だと言うことです。夏の高温に大慌てをして、フラッグシップのワインですら9月中に収穫を済ませるところが目立ちましたが、慌てふためき組は負け。プリンセスお気に入りのトップワイナリーは一様にじっくり収穫を待ち、現在議論は「初霜の直前に収穫した方が出来がいいか、霜を待った方が勝ちか」へと移っています。因みにヒルシュは前。ブリュンドゥルマイヤーは後。…うーん、どっちも10年を経た今まだまだ驚くほどエネルギッシュな素晴らしいワイン達です。 

そしてもうひとつはルーディ・ピヒラーがプリンセスに語った「それぞれのワインにはそれぞれに必要な時間というものがある」という言葉。 


ワインを愛する全ての皆さんに覚えておいていただきたい真実です。

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やるときはやる。それがハネス

昨年行われたチャリティーコンサートも「やるときはやる」ハネスの面目躍如
昨年行われたチャリティーコンサートも「やるときはやる」ハネスの面目躍如

いつもながらの期限を守れぬ駆け込み確定申告&Think-Padの絶不調に業を煮やしての新PC調達(Windows8に遊ばれっ放しで結局傷口を広げただけ?)のドタバタで、ブログを書く時間も頭も吹き飛んでしまったプリンセス…。ようやく久々の更新です。

 

さて、「スクリューキャップ」「オーストリア」とGoogleで検索すると、何故かオーストラリア関連の記事が引っかかってしまうくらい、豪やNZで普及率の高いスクリューキャップ。実はオールド・ワールドの中では、オーストリアでの使用率がおそらく最高でしょう(データは追えませんでした。済みません)。

 

ここで少しワインのストッパーについて軽く復習しておきましょう。天然コルクの代替が使用されるのには主に3つの理由があります。

1)良質な天然コルクのコストが高い、或いは入手しづらい

2)天然コルクの密閉度の個体差が大きい

3)コーキー=ブショネを避けられない

そして、オーストリアの高い普及率は、そのワインのスタイルと密接な関係があります。主流の辛口白ワインといえば、新樽風味なし、マロなし、頻繁なバトナージュによるバタリーな風味なし、ですから、粗悪なコルクによる酸化やブショネが必要以上に目立ち易い、ということ。

 

そして「それがいい」と決めたら徹底的にその啓蒙と普及に励むのがハネス流。

他のワイナリーの多く――例えば我がお城ワイナリーにしても――が、普及クラスからスクリューキャップを導入し、プレミアムクラスは、主に外観上の理由で依然天然コルクかヴィノロック(ガラスと樹脂を組み合わせたもの)を使っているのに対し、彼は2002年の導入時から、ラム、ハイリゲンシュタイン、ガイスベアクという3大看板ワインを含む全てのワインをスクリューキャップで打栓して来ました。

 

同様の潔さは、ビオディナミ認証を巡る買いブドウに対する態度にも端的に表れています。

ロイマー、オット、フリッチ、ヴィーニンガー、ピットナウス、A u. Hニットナウス、Gハインリッヒ、ゲゼルマン…といった同時期にビオに転換した面々が、持ち畑のブドウと買いブドウの処理経路を完全に分断したり、別会社で製造したり、という工夫で持ち畑のブドウからのワインの認証を守ろうとしたのに対し、ハネスだけは買いブドウも最低限100%有機を目標に、提携栽培農家探しや育成に力を注いで来ました。おそらく2013年ヴィンテージあたりから買いブドウも全て有機となるはずです。

 

そんなポジティヴ方向に真っ直ぐに突き進むエネルギーは、何よりも彼のワインに注ぎ込まれるとみえ、ハイリゲンシュタイン&ガイスベアク一帯に畑を持つカンプタールのトップワイナリーの中でも、生き生きとした陽性のエネルギー感と躍動美は、ヒルシュならではの魅力だと、プリンセスは常々思っています。

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ヒルシュ バック・ヴィンテージ・テイスティング レポート その1 父の代からの自然農法

さて、怒涛のイベントラッシュをどこから振り返りましょうか?

ここは「鉄は熱いうちに打て」ということで、先週14日に渋谷シノワで行われたヒルシュ バック・ヴィンテージ・テイスティングからご報告します。

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プリンセスの人生を変えたワイナリー、ヒルシュ

Foodex~大阪~名古屋と続いた鬼のロードもあとひと息。プリンセス東京に戻って参りました。

そこここのセミナーやらワイン会に来て下さった皆さん、本当に有難うございます!
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ヒルシュさんちでチャリティー・コンサート

一昨日9月3日の夜、昨年のファルスタッフ”ワイナリー・オヴ・ザ・イヤー”に輝いたヨハネス・ヒルシュのワイナリーで、クリーヴランド響のコンサート・マスターや首席ヴァイオリン奏者等による、超豪華だけれども実にアットホームなチャリティー・コンサートが行われました。
http://www.weingut-hirsch.at/show_content.php?sid=77 

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鯖寿司 with リースリング ガイスベアク vs GV レナー@仁行

生の青魚とワイン、ってかなり危険な組み合わせですよね。

けれど素材さえ新鮮ならとても美味しくいただける、ということは皆さんもご存知の通り。
「素材さえ新鮮なら」と、そうプリンセスも固く信じておりました。…前回帰国時に蕎麦の仁行で、鯖寿司にふたつのオーストリアワインを同時に合わせてみるまでは…。
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お城ワイナリーを鮓&和食と楽しむ会@壮石

思い返せば丁度1年と2週間ほど前、プリンセスはお城ワイナリーの当主ミヒャエルを関空まで迎えに行き、翌日から大阪&東京を駆け足でプロモーション・ツアーをしていたのでした。そして東京ではこの壮石でもワインメーカーズ・ディナーを行い、お寿司大好きのお城当主本人にとっては、来日中最も印象に残るディナーとなったようです。翌朝紅林板長に案内していただいた 築地魚市場も大のお気に入り。

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ヒルシュ訪問記…2010年はクリーミー?

グロースでのテイスティグをご報告する前に、2月13日に訪れたHirsch ヒルシュでのテイスティングを先に振り返ります。両者共通して焦点を当てたいテーマがあり、ヒルシュを先に書いた方が、すんなり説明できそうだからです。

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世界のリースリングと鮓@銀座壮石

プリンセスは21日シノワに続いて、22日の晩は銀座壮石でワイン会。
世界のリースリングと鮓の相性を楽しみました。

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リースリング ハイリゲンシュタイン&ガイスベアク   ワイン会@シノワ渋谷

昨晩は渋谷シノワでワイン会。
シノワのオーナーソムリエの後藤さんとは、もう15年以上のお付き合い。久々にあのつかず離れず、一般客には非常にスマート、常連客にはサディスティック? とも言える独特のサービスを楽しみにしていたのに、本人はオフで不在。

 

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フィナーレは貴腐ブドウ

お城ワイナリーの収穫の最後を飾るのは(アイスヴァインは別にして)、ハイリゲンシュタインHeiligensteinの貴腐ブドウ。晴れ渡った先週の金曜日、午後。最後の区画の収穫の様子をお届けします。

お城ワイナリーからハイリゲンシュタインの畑までは自転車でも20分くらいかかります。

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ミニ・テイスティング@ヒルシュ

最近思うのですが、確かにワイン・ジャーナリストというのは素晴らしい仕事で、トップワイナリーの当主手ずからワイン――それも必ずそのフラッグシップのワインまで――をいちいちお願いしなくて、しかも丁寧な解説付きで注いで貰え、何か質問があれば遠慮なく心行くまで尋ねることができます。

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