日本って本当に便利だわぁ…

<<前回はレコルタンのブルゴーニュ的美味しさについてでした

 

あ、シャンパーニュがテーマのお食事会@シノワの報告の続きの予定でしたが、お題を変更しました!

 

2か月振りにバーデンの御用達スーパー“メルクール”で買い物をしたんですよ。

「いたつく大国」日本に長期滞在した後だと、こちらのスーパーはつくづく不便。(※ 断っておきますが、メルクールはマイヌルほどではないにしても、どちらかと言えばビラやシュパーより上級路線のスーパーであり、決してホーファーやツィールプンクトのような超堅実路線の店舗ではありません。)

 

順を追ってご説明します。

まず、入店前に戸外からカートを調達して中に入らねばならない(使えるカゴやカートは通常店内にない)。そしてカートを調達するためには、小銭(€1か50セントコイン)を挿入して繋がっているチェーンから切り離す必要があり、つまり特定の小銭を用意して買い物に出かける必要がある。

 

さて、店に入ってお買いもの。

量り売りの野菜や果物は自分で袋に入れて、秤で測って値札をプリントアウトして貼りつけるところまでやらなければならない(私はしばしば袋にだけ詰めて、長蛇の列のレジを混乱に陥れる:)。

 

そして、お支払い。

買い物籠をレジ前に置いてお金を払うだけの日本とは異なり、こちらはレジにつながる長いベルトコンベアに自分でカートの中身を出して並べ、次の人の品物と混乱しないように、区切りの棒やらプレートやらを自分の品物の最後に置かねばならない

さらに、日本では例えば鮮魚や精肉、冷凍食品などは、レジのオバハンがビニールに入れてくれることさえあるが、こちらではそんなサービスは決して期待できないばかりか、ビニールのスーパー袋すら有料(これ、資源節約の意味ではいいことだとは思うけれど…)。だから車でない限り、大きな袋持参が必須

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シャンパーニュ訪問報告お食事会@シノワ vol.2 ドゥーツ&ボランジェのアッサンブラージュの秘密はどこに?

<<前回はお食事会の全体的反省でした

 

今日は最初のスタンダードN.V.のフライトを振り返ります。

訪問8メゾンからひとつずつワインを選ぶ作業にあたって、考慮したのは以下の3点;

1.そのメゾンらしさ(技量とテロワール)が最も良く反映されているもの

2.同一価格帯の中でなるべく美味しいもの、コスパの高いもの

3.シャンパーニュの全体像を掬えるよう、クラスやスタイルにできるだけヴァラエティーを持たせる


格の上げ甲斐のある生産者――つまりクラスを上げることでテロワールや技量のアピール度が段違いに上がる生産者については、なるべく上のクラスを出すよう心掛けました。で、このような顔ぶれに。

 

1st  flight シャンパーニュの極意はアッサンブラージュにあり

・N.V.  ドゥーツ・ブリュット・クラシック(アイ)
・N.V.  ヴィルマール・グラン・レゼルブ(リリー・ラ・モンターニュ)
・N.V.  ボランジェ・スペシャル・キュヴェ(アイ)

 

さて、シャンパーニュというものは、普通のワインとは全くコンセプトの異なるお酒です。

ブルゴーニュに代表される通常のスティルワインの場合、畑の範囲を狭く特定すればするほど格が上がる訳ですが、シャンパーニュの肝は複数品種、年号、畑区画間のアンブラージュ(=ブレンド)にあります。実際シャンパーニュ全生産量の9割がN.V.だそう。

 

アッサンブラージュの妙味を楽しむ、という観点に立つなら、グランメゾンの方が規模の小さなレコルタンより圧倒的有利であることは自明。絵を描く際の絵の具の色数を想像してみて下さい。…という訳で、2つのネゴシアンがこのフライト入り。

ドゥーツは優雅で品の良い抑制の効いた美しい個性、一方ボランジェはなんと240ものベースワインと、およそ半分を占めるリザーヴワイン、蔵全体でトータル500にも上るエレメントのアッサンブラージュにより、チェリーやオレンジ風味漂う陽性で暖かみのある個性、――両者それぞれのハウススタイルを見事に描き切っていました。

そしてレコルタンのクリュッグと呼ばれるヴィルマール。ピノで名高いモンターニュ・ド・ランスにあって、上級キュベはおしなべてシャルドネの比率が高い。期待していたのですが、現地試飲においてはクラスを上げる必然性が最も希薄だったため、ピノ優勢のN.V.での登場。味わいをコントロールすべく100%MLFするドゥーツとボランジェに挟まれると、MLFを全くしないヴィルマールのワインは、良くも悪くもワインの果実味が鮮やかで生々しく感じられます。

 

ところで、グラン・メゾンでの試飲に際して、どの村のブドウがどれくらいの割合で使われているかについては、グラン・クリュ&1erクリュの比率以上詳しいことは一切聞けませんでした。が、現地訪問を振り返り、こうして今一度グランメゾンものを味わいながら、俄然気になって来ているのは、モンターニュ・ド・ランスのグランクリュ、しかも北や北西向きのピュイジュー、シルリー、ボーモン・シュル・ヴェル、マイイ・シャンパーニュ、ヴェルズネイ、ヴェルジーといった村々のこと。これだけの高緯度でしかも北向き…、黒ブドウ生育にとっては信じ難い劣悪生育条件だぁ!!! 

しかーし!!

単体ではコート・デ・ブランのメニル・シュル・オジェやアヴィーズのシャルドネ、そしてモンターニュ・ド・ランスのアンボネのピノようなスター・キュヴェを生み得なくとも、アッサンブラージュの一要素として極めて重要な役割があるのではないか? と、思い至るようになりました。

寒冷産地北向き斜面のピノだなんてあなた、相当ねじくれたクール・ビューティーに違いありません。カストラートの怪しくも透明な高音にでも喩えましょうか。ゾクゾクしませんか?

遠目には落ち着いたブラウンのツイードを織る際に、単色で重要でなくても、奇抜に見える色であっても、織り上がり全体のナチュラルな色調のために必須な、真っ赤やブルー、緑の色糸、ってのもあるじゃないですか? 

超メジャーのグラン・メゾン・シャンパーニュを相手に、あまりにマイナーな目線!…って突っ込みも甘んじて受けます:) 。

ま、斯様に深いのですよ、グランメゾンのN.V.はむしろレコルタンより。…でありながら普段あまりワインに馴染みのない人々までが「取りあえず泡」と、なーんにも考えずにオーダーするのがこのクラス。勿体ない話だ…。

 

再度シャンパーニュを訪れる機会があれば、是非とも北向きグラン・クリュにあるレコルタンを訪ねた上で、グランメゾンのアッサンブラージュでどんな役割を果たしているのか追及したいなぁ、と思っています。

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シャンパーニュ訪問報告お食事会@シノワ渋谷 vol.1 ああ、しまった!

<<前回はお食事会の予告でした

 

訪問した8メゾンからひとつづつ選んでのシノワ渋谷でのお食事会のご報告。昨日のブログでボトル写真を載せておきましたが、改めて贅沢に色々飲んだもんだ…。

 

1st  flight シャンパーニュの極意はアッサンブラージュにあり
・N.V.  ドゥーツ・ブリュット・クラシック(アイ)
・N.V.  ヴィルマール・グラン・レゼルブ(リリー・ラ・モンターニュ)
・N.V.  ボランジェ・スペシャル・キュヴェ(アイ)

2nd  flight 「人」と「テロワール」のキャラ立ちを味わうレコルタン
・N.V.  エリック・ロデス・ブラン・ド・ノワール(アンボネイ)
・N.V.  ド・スーザ・キュヴェ・ド・コダリ・ブラン・ド・ブラン・ブリュット(アヴィーズ)
・N.V.  ジャック・セロス・イニシャル・ブラン・ド・ブラン・ブリュット(アヴィーズ)

 

3nd  flight 新旧革新者の頂点を味わう 
・2004 ジャクソン・ディジー・コルヌ・ボートレイ(ディジー)
・1996 サロン(メニル・シュール・オジェ)

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おお、モリッツもウヴェも大人気だぁ!!

<<前回はシャンパーニュのお題でした

 

私用に忙殺されてご無沙汰だったfacebookを久々に覗いてみると、来日していたモリッツMoricと昨年初めてそのトップ・キュヴェであるライーブルクReihburgが日本市場に紹介されたウヴェ・シーファーUwe Schieferの話題が満載!! 

彼らのワインが日本市場でも非常に高く評価されていることに、2人をインポーターさんにご紹介した超本人として感慨も新たにしたところです。紹介者なんて地味なもので、世間に受け入れられてしまえばその存在は忘れ去られるのが常。誰も誉めてくれないので、ここで自画自賛しておくとします: )。

二人についてはこのブログにも色々書いていますので、オーストリアワイン・ファンの皆さん、ピノや優美なバローロ、懐の深いローヌ好きの皆さんは、是非リンクを覗いてみて下さい。一層ワインが味わい深く感じられることでしょう。

 

モリッツ関連リンク;

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ローラントの弟子とも言うべきHannes Schusterのワイナリー、ロージー・シュスター関連リンク;

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ウヴェ・シーファー関連リンク;

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思い起こせばオーストリアワイン応援団長を自負して既に10年以上。オーストリアを拠点とするまでは主にジャーナリスト&エデュケーターとして、11年春以降はエージェントに軸足を移して応援して来ました。そもそも商売として何の展望もなく始まったこのオーストリアワイン贔屓。自分の応援しているものが少しずつメジャーになれば、自然と応援活動が職業的好循環をもたらす、とナイーヴに信じて来たものの、そんなに世間は甘くない、単純でもない、と痛感すること幾千回 …。

その一方で、言葉もロクに通じず、配偶者も雇い主も個人的な友人も貯蓄も定収入も、お城を出てからは定宿すらない、ないないづくしの環境で、どういう訳か毎日の暮らしを、むしろ日本にいた頃よりも、深く慈しみ楽しむ術を身に着け、最近はヨーロッパ全体の文化や社会について、その成り立ちやら歴史の裏舞台の痕跡を肌で感じられることが面白くてたまらず、「ワインが私をここまで連れて来てくれたのだなぁ」と、しみじみ別の感慨に耽ることがあります。

 

…で、思うのですよ。

元々私がMoricやUweのワインを発見できたのは、部外者として何のしがらみもなく、生産国や風評、権威に対する色眼鏡なしでワインを評価する姿勢があったから。もし最初からオーストリアのワイン業界にドップリと浸かり切っていたなら、恐らく雑音が多過ぎて、或は主流派が見え過ぎて、業界の異端中の異端である二人に虚心に向き合うことは難しかったかも知れませんし、世界のワインメディア広しと言えども私が言い出しっぺと自認する”エレガント・ブラウフレンキッシュ”の潮流も、こうしてその流れが立派にインターナショナルに認識されるようになるまで、探り当てられなかった可能性もあります。

…であれば、ここはつまらぬしがらみからはちょっと身を引き、オーストリアワイン応援団長の殻も脱ぎ捨て、もっと今、自分が本当に面白いと思うことにコミットしよう、と考え始めました。私が就職した当時のルールに従えば、もう去年で引退の身。既に余生みたいなものですし:)。

 

では、一層とっちらかるであろう酔狂なオバサンの発見や閃きに、今後もゆるゆるとお付き合い下さい。

 

次回はシャンパーニュがテーマの久々のワイン会のお知らせです>>

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