アンティーク・トラクターで畑巡り――これ最高! ワインフェスティヴァル・テルメンレギオン報告 その3

<<前回はヴァイセンキアヒェン訪問記でした

 

ヴァインフェスティヴァル・テルメンレギオン3日目のイベントは”リーデン・ヴァンデルング(畑巡り)”。

このアンティーク・トラクターの荷台に乗ってプァフステッテンの畑を巡る、というご機嫌な企画です。待ち合わせ場所はÖBBプファフシュテッテン駅。完璧一般人向けアトラクションに紛れ込んで:)みました。

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トゥルー・ヴァッハウ ヴァイセンキアヒェン ヴァインフリューリンク@ヴァッハウ報告 その6

<<前回はテルメンレギオン ヴァインフェスティヴァル@カジノ バーデン報告でした

 

再び舞台はヴァッハウに戻ります。

 

ヴァッハウ ヴァインフリューリングの2日目。私はほぼヴァイセンキアヒェン村の周辺をウロウロしていました。

この辺り中部ヴァッハウの中心地ヴァイセンキアヒェンは、気候的――パノニア気候の暖気の通り道であるドナウ川がクレムスから既に2回大きく蛇行することで、東側のロイベンやデュルンシュタインより一段と冷涼――にも、土壌的――附近を代表するオートクナイス主体のアハライテン、パラクナイスやアンフィボリット主体のクラウスの2つのリースリングの銘醸畑を持つ――にも、トゥルー・ヴァッハウ“と呼ぶにふさわしい場所だ、と私は思っている。

 

そして今回ヴァインフリューリンクでヴァイセンキアヒェンの町附近をのんびりウロついてみて、『風情的にも』という、とても大切な観点も付け加えたくなった。

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ホルツアプフェル――歴史の醸し出す優美さ ヴァインフリューリンク@ヴァッハウ報告 その5

<<前回はバレンボイムとアーノンクールの場外乱闘話でした


シュピッツから再びWL1のバスに乗り込み、目指すはヨッヒングJoching

…ああそれなのに、ヴェーゼンドーフを出たバスが次に止まったのはヴァイセンキアヒェン。ちょっとお願いですから、せめてヴァインフリューリンクの時くらい、各村に止まって下さいよ!!

 

…ということで、既に最初のワイナリー”ホルツアプフェル”とのアポがあった手前、先にヴァイセンキアヒェン町中のワイナリーを訪問する訳にも行かず、またしてもテクテク町外れまで歩くことに。

まあでも、優れもののiPhoneアプリ myWachau”で畑の位置を確認したり、町の様子を覗き見しながらの寄り道も、雨に祟られなければ悪くはありません。

 

見えてきました! さすがはかつてSt ペルテンのコアヘレンシュティフト修道院が所有したプランドタウアーホーフを引き継ぐワイナリー。愛らしくも品格溢れる建物は、あのメルクの修道院も建築したプランドタウアーが1692年に建てたものだそうで、その姿を今もこんなに美しく留めています。やっぱり本物は美しいです…というか、遠くからでも、そして訪問するまでその建物の由来を全く知らなかった私にも「この建物はちょっと特別よ」と、訴えかけてくる「何か」があります。

 

2年間お世話になったシュロス・ゴーベルスブルクのミッヒもそうですが、ここの当主カール・ホルツアプフェル氏も、とても穏やかで品のいい方。実際にホルツアプフェル家が修道院と家系的繋がりがあるかどうかは別問題とし(モースブルッガー家もツヴェッテルとは家系的には無縁)、こういうセッティングに長く身を置いていると、日々こうした文化遺産を実際に使いながら暮らしていると、モノを丁寧に慈しむ姿勢というものが自然に身に着きます。そしてそれはワインの個性にも自ずと顕れます

何かの試飲会で、ヴァッハウには珍しい自然農法を試行している…といったことを耳にしていたように思い、その進展が知りたくて訪ねてみたのですが、それは私の勘違いで、除草剤は一切撒かないけれど、無農薬ではなく統合農法だ、とのこと。

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バレンボイム vs アーノンクール、場外乱闘?:)

<<前回はヴァッハウのホープ、ヨーハン・ドナバウム訪問記でした

 

行って参りました! サンタさんのお蔭で久々に着席でのムジークフェライン! 左サイド28列目6

左側中央の大扉から入って後方にズズイと進んだ、床が少し高くなり始める辺り。「あら、お高い割に後ろなのね」なんてバチ当りなことを思いつつ席に着くも、演奏が始まって感嘆。 

中央ブロックとの通路が右手にある端の席なので、演奏者まで視界が気持ちよく抜けています。しかも目線を上に上げることなく、角度的にも高さ的にも自然な姿勢で手の動きが見える!!!

58.50という中途半端な値段(サイト上にそんな価格はなかった)といい、この実にピンポイントに考え抜かれた位置取りといい…「ああ、ピアノの時はここが定席、な年季の入った楽友協会会員だったのね、あのサンタさん」と、思い至りました。

 

ちょっと人の引いた休憩時間に、私がピアニストの手許とペダル捌きの見える位置を確認しながら「しめしめ」と場所取りする様を、サンタさんはきっと見ていたのですね:)。

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ヨーハン・ドナバウム訪問記 ヴァインフリューリンク@ヴァッハウ その4

<<前回は心温まるウィーンも捨ててもんじゃないエピソードでした

 

話題はヴァインフリューリンク@ヴァッハウに戻ります。

 

シュピッツァー・バッハを下りきった辺りに控えるのが、16世紀からこの地に続く歴史あるワイナリー、ヨーハン・ドナバウム。

あ、そうそうシュピッツにはドナバウムとグリッチがうようよしているので、ちゃあんとファースト・ネームも確認してからお出かけ下さい。苗字が同じでもワインのレベルやスタイルは大違いだったりします:)。

 

さて、J・ドナバウムはもうずーっと気になっていたんです。Vie Vinumでもヴィネア・ヴァッハウが催す様々なテイスティングでも、常にトップクラスのすぐ下、くらいの位置に私的にはつけていたもので。


さて、どんな2014年を造ってくれているんでしょう?

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初夏のサンタクロース、ムジークフェラインに現る!!!

<<前回はヴァッハウの土壌についての逡巡でした。

 

今日は予定を変えて、ついさっき私の身に起こった不思議な出来事のお話。

 

私がここオーストリアに住んでいるのは、素晴らしい音楽が湯水のように溢れていることとも勿論無縁ではなく、特に音楽観光大国ならではの大盤振る舞い――シュターツオーパーの舞台裏席やらムジークフェラインの立見席やら――の恩恵には預かりまくっています。

で、2015年初夏の私にとっての音楽的目玉は、バレンボイムによるシューベルト・ソナタ全11曲の4夜チクルス。

 

今夜はその第2夜でした。いつものように指定席:)のStehplatz=立見席で前半2曲(D575, D894)を聴き終え、D894の余韻に浸っていた休憩時間。物見遊山の観光客も多い立見席は、面白いことに(こんな超貴重プロでも)前半だけで帰ってしまう人も多く、後半戦は最前列の手すりにもたれて抜群の位置で鑑賞できそうだ…しめしめ、と思っていた矢先、80歳は行っているであろうとても背の低い老人が私に声を掛けて来た。

「ちょっと聞いていいかい?」「11日の日曜もバレンボイムを聴きに来るかい?」「ドイツ語話すよね?」

こちらでは何かと世知辛さに揉まれている私は、「ああ余分のチケットでも売ろうっていうのかな?」と咄嗟に思いました。「ええ、でももうチケットは買ってあるんです。」

と、その老人「また立見席?」

私「ええ」

老人「残念なことに来られなくなってしまって、これ、プレゼントするよ。」

私(呆気に取られ、聞き間違いかと思いボッとしていると)

老人「僕の言ってる意味わかるよね。お金はいらない。プレゼントだ。日曜の11時だから」と、言ってチケットを私に渡すと、そそくさと立ち去ってしまいました。

 

いくら多少人が引いたとは言え、世界各国からの可愛いお姉ちゃんやお兄ちゃん、いかにも向上心旺盛な音大生風情がひしめく中、何故私に声をかけたのか…。施したくなるビンボーオーラを発散していたのか、胡麻塩頭で立見は痛々しかったのか(いえいえヂモティーにはそのテのご老人も沢山いらっしゃいます)、はたまた『シューベルト命!』の星印が私の瞳に浮かんでいたのか…。まあ、何であれ、€58のチケットをタダでいただいてしまいました。

 

初夏のサンタさん、ありがとう! 日曜の演奏、ゆっくり座って堪能させていただきます。

…世の中捨てたもんじゃない:)

 

次回はヴァインフリューリンク@ヴァッハウ報告に戻ります>>

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ヴァインフリューリンク@ヴァッハウ報告 その3 シュピッツァーバッハを下りながら――ヴァッハウの土壌はどうなっているのか

<<前回は久々のヘーグル訪問記でした

 

でもって、シュピッツの町めがけて山道を下りながら考えたことをお話しする今日のブログは…

ガチ オタク向け:)

 

あ、その前に! 前回のブログに誤報がありました。

ヘーグルのフェーダーシュピールはGVはヴァインガルテンが、リースリングは看板畑ブルックが、ちゃーんと正規輸入されていることが判明。謹んでお詫びします。

…でもヨーゼフ本人の口から「1ℓワインがほとんど…」と残念そうに出たことは事実なので、おそらくこれはスマラクトまで日本に出したい、という意向が現れた表現だったのだろう、と理解します。そうなるようインポーターさんにもお願いしましたので、貴重な2014のスマラクトが味わえるようになるといいですね:)。

 

では、オタク向けの話題に戻ります。

 

私が最初に魅せられたオーストリアワインは、ヴァッハウとカンプタールのものばかり。両産地に挟まれたクレムスタールのワインの中でお気入りと言えば、当時はニグルのみ(今はプロイドゥルの方が好きだし、ニコライホーフやクノル他のヴァッハウ地続き畑は除外して、の話)。

初めて訪れたオーストリアで、その原因が土壌――原成岩かレスか――にあるのだと身をもって実感した時の興奮は、今も鮮明だ。

 

以来土壌についてはなるべく突っ込んで生産者の話を聞いて来たが、聞けば聞くほど混乱した:)。同じ畑なのに生産者によって違う名称を語る――まあこれは同じ畑でも区画が違えば土も違うのだろうと納得する。もっと酷いのは同じ生産者に時を置いて同じ質問をすると返って来る答えが違う――数年前の取材ノートと最新の取材ノートに書いてある単語が違うことが多いのだ。うーん、私の聴き間違い??

 

一番面食らったのは、この国のワイン産地土壌の権威マリア・ハインリッヒ博士にインタビューをした時のこと。彼女が”Schiefer”と言ったので“それはslateでしょうか、それともschistでしょうか?”と尋ねたところ、“2つを区別する必要がありますか?”と博士ご自身から返されてしまったのだJ

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ヴァインフリューリンク@ヴァッハウ報告 その2 6年振りのヘーグル訪問

<<そんな訳でヴァッハウ最奥の村フィースリングへ

 

メルクからフィースリングまではバス1本のように錯覚していたけれど、シュピッツでバスを乗り継がねばならぬことに気付き、慌ててWL1のバスを降りる。ところが乗り換えるべきWL5のバスが来ない…。こういう時頼りはiPhone Appのみなのだが、道路とアプリを交互に不安気にチェックしていると、「バスに乗るの?」とどこからか声が。

…はは、なーんだ! バスってマイクロバスなのね:)!!

シュピッツからシュピッツァーバッハ川沿いを北に向かって坂を上ること2,3停留所。「ヘーグルに行きたいんだけど、一番近い停留所で降ろしてね」とドライバーにお願いして、無事ヘーグル到着。

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ヴァッハウのワイン春祭“ヴァインフリューリンク”報告 その1

<<前回は春の帰国時イベントのお知らせでした

 

どうやらメーデーの前後というのは国際的に祝日が重なるらしい。それが初夏の行楽シーズンのひとつのピークになるのですね。

ここ高緯度のオーストリアでも、ここら辺りから圧倒的に日が長くなるし、眩しいばかりの新緑に誘われ、人々は浮かれたように外出、外出、そして外出…。国際的祝日と重なり、ウィーンの主要駅や幹線電車ではさまざまな国の言葉が飛び交います。

ワイナリーにとっては新ヴィンテージ(昨年秋の収穫)の国際的お披露目プロモーション行脚も一息つき、いよいよ今年の畑作業が忙しくなるまでの束の間、今度は国内でのお披露目&顧客感謝イベント等を慌ただしく開催する時候。こうしたイベントは各地方の生産者団体か、任意の生産者グループが主催し、大抵は全ての加入ワイナリーをアポなしで訪ねられるオープン・ドアのシステムを採用。普段あまり縁のないワイナリーを訪ねるにはもってこいの嬉しい催しなのだけれど、これが揃いも揃って5月の最初か次の週末に行われるので、もったいないことに参加イベントを取捨選択して出掛けねばなりません。

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