アイゼンベアク再生なるか 最終章 神様の御心は? 前篇

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人生の不条理、なんて大仰なことを書いた途端ブログが止まっちゃったじゃないのJ

…っていうか、帰国前はいつも鬼の忙しさ…ま、私の段取りの悪さがこういう時に浮き彫りになるだけの話ですが…で、全く時間が取れませんでしたぁ…。

 

気を取り直して、本題に戻る…ウヴェの話だった?

 

ウヴェに限らず、ワイン産地(多くはド田舎)では抜きんでた存在は村人から後ろ指を差されがち。

「け、俺っちんとこで1リットル€2で売ってるブラウフレンキッシュをあいつは750ml15で売りやがる」でな具合に。

実はそうした輩こそ、その抜きんでた存在(例えばモリッツのネッケンマークトやウヴェのライーブルク&サパリ)のお蔭で産地自体のネームヴァリューが上がり、高値で自分の畑やブドウを買ってくれるとなると、掌を返したようにできるだけ高い値で売り抜けておいて悪びれもしない。

 

多くのブドウを共働耕作の上買い取るスタイルを取るウヴェ等の場合、こうして結局自分のワインが高い評価を受ければ受けるほど、周囲の畑やブドウの価格を吊り上げ、自分の財力では良質のブドウが調達しづらい状況に追い込まれる、という「不条理」に直面することになる。彼の苛立ちや長期にわたる体調不良には、そうした状況に対するやりきれなさも大きく関与していたに違いない。

 

2010年花振るいと年間を通しての低温による不作の後、ウヴェは体調を壊している。そして、2011年&2012年は良作年ながら平年以下の収量の中、ワインが売れることを前提に投資を続けて来たウヴェにとって資金繰りの大変さもさることながら、この辺りからアイゼンベアクDAC発足を巡るいざこざや、共働耕作パートナーとの折合の悪化、ブドウ価格の上昇、優良区画を着々と買い進めるワイナリーの出現…と、「自らのワインがカルト人気を得ることで自分の首を締める」という不条理との戦いが延々深刻化を増すことになる。

 

アイゼンベアクのポテンシャルは、もちろんウヴェ一人で開拓し尽くせるものではない。だからいちオーストリアワイン・ファンとしては、グローサー・ヴァインやヴァハター・ヴィーズラーなど地元の、そしてヴェーニンガーなど外部のワイナリーが続々とアイゼンベアクに色気を出す状況を歓迎したい。こうして様々なワイナリーが素晴らしいワインを世に問うことで、産地への注目度が更に高まり、また生産者間の切磋琢磨により、更なるレベルアップも望めるというものだ。

翻ってウヴェのワインの信奉者であり、彼をよく知る身としては、ウヴェの辛さがヒシヒシと伝わるだけに、やりきれない気持ちもまたひとしお。

 

そして彼は、2013年に雹でアイゼンベアクの9割以上のブドウを失い、地元から思うように不足分のブドウも調達できなかった。

 

神様はつくづく残酷なものだ…。

後編は次回に>>

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アイゼンベアク再生なるか? その1 大きいことはいいことだ?

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2011年が初ヴィンテージのアイゼンベアクの新進ワイナリーは、その名も Groszer Weinグローサー・ヴァイン、即ち「大きいワイン」と称する。だから今回は名手というよりホープのご紹介。

 

ワイナリーを訪れたのが昨年収穫も間近な912日。

ウヴェ・シーファーの力で世界のワイン愛好家の耳目を集めることとなったアイゼンベアクの特等区画、サパリとサイブリッツ他に畑を有し、56年内には完全有機農法を目指し、勤勉な独人ワインメーカー、マークス・バッハを擁し、おまけにしっかりとした資金的裏付けを持つこの幸運なワイナリーのワイン達は、初ヴィンテージとしては非常に高い完成度で私を驚かせた。(※母胎のワイナリーがあるし、マークスは前ワイナリーからの留任なので、本当の意味の初ヴィンテージとは言えないのだが)

 

普及価格のブラウフレンキッシュは、ズュドブルゲンラントらしいクールで生き生きとした果実味と、ほど良く抑えたタンニンのさじ加減が好ましい。

白もヴェルシュリースリング7割にヴァイスブルグンダー、グリューナー、ムスカテラーの加わる、ウィーンとはまた趣の異なる、しかしながらこちらもキリっとしたミネラル感溢れるゲミシュター・サッツだ。

フラッグシップの2つの単一畑ものは、サパリのテンションとサイブリッツの鷹揚さ、という両者の対比がバレルサンプルの時点で既に華やか。やるなぁ。

 

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