シリア難民状況続報――で、自分の国は??

<<前回はゲヌースマイレの花形区間のご紹介でした


とにかく今オーストリアでは、家庭でも交通機関でもカフェでも(きっと学校でも会社でも)、フリュヒトリンゲン(=難民)の話題でもちきりです。

 

「ウチの娘の家のすぐ前に寝泊まりしているらしい」「あら、それはひどい」、「Welcomeと言っておいて、急にストップって、それはない。こんな小さな国、しかも既に移民で溢れかえっているオーストリアに押し付けるなんて」――みたいな、どちらかと言えば被害者目線の世間話が大半ですが、逆に支援行動を起こすよう促すメールが友人から送られて来たりもします。

 

なのに私は、街でその単語を耳に挟んでも、露骨に文句を言っていたり排斥を叫んでいればともかく、話がちょっと込み入ってくると、議論が見えない悲しいドイツ語力しか持ち合わせない…。ニュースを聞いても新聞を読んでも、どうも事態がちゃんと飲み込めた気がしません。

 

それで木曜日、用事があったついでに、多くの難民が寝泊まりしているというヴェストバーンホーフ(西駅:日本で言えばさしずめ新宿駅)に行ってみました。他の駅でも足りる用事だったのですが、モノを書く人間の卑しい性…、この目で事態を確かめたい、と思ったのです。

U6でWestbahnhofに近いMeidling駅では、さすがにいつもより厳重に改札チェックが行われていました
U6でWestbahnhofに近いMeidling駅では、さすがにいつもより厳重に改札チェックが行われていました

臆病なものでかなりおっかなびっくりでUバーンの駅を降りましたが、むしろ拍子抜けするほど、駅はいつもと何ら変わることなし。

けれど、ÖBB(オーストリアのJR)の窓口を目指して一旦外に出た時です。駅前の芝生に多くの難民風の人々が座ったり寝転がっていたりします。構内に入ると、窓口の前には更に多くの人々が列をなしているのが目に飛び込んできました。

 

騒いでいる訳でもなく、警官と小競り合いをしている訳でもなく、騒然とした様子も殺気立った様子も特になく…スマホを眺めて談笑している家族さえありました。

 

あまりに普通の人々、普通の家族達であることに、愕然としました。

 

身の危険を感じる状況ではなかったからなのか、彼らの様子がそんなに悲惨なものには見えなかったからなのか、少しほっとするとともに、これまで事態をどうとらえたらいいのか、どう対処したらいいのか、全く掴みかねていた私の心に、しっかりとした自分の気持ちが芽生えてくるのがわかりました。

 

「あの普通の人々は本当に突然、普通の生活ができなくなって逃げて来たのだ。見殺しにはできない。普通の我々にも何かができるし、しなければいけない。」と、それこそ『人道的』気持ちがフツフツと湧いて来たのです。これは我ながら思いもよらぬことでした

 

正直私は、自分の野次馬根性を多少恥じていました。でも今は行ってよかったと思っています。

何かがわからなくなったら、それ「について」書かれたものや話されたものを漁るのではなく、現場に行ってそれそのものを自分の目で、耳でしっかりと確かめる。問題が深刻で複雑であればあるほど、できるだけそれに『直接』かかわり自分の肝に照らしてみる。…透明人間脱出にはそれしか方法がありません。

 

…それはそうと、

難民問題でオーストリアが大揺れしている間に、自分の国では安保法案があんな野蛮なやり方で、国民の『直』の声を全く反映させないカタチで、通ってしまっていたのですね。

 

軍事力(防衛力と呼ぼうが)の問題は、原発とは違い、それがない方がいいのは当たり前でも、現実問題ゼロにして国家は成り立たないであろうことは、ほとんどの人の共通理解か、と(ブドウ作りにおける<ケミカルか否かはさておき>防カビ剤みたいなもの?)。だからこそ、何をどれだけ持ち、誰と協力し、どう使う、或は使わない、の様々な選択肢について国民に示し、理解を得るのが政府の責務のはず…。

それなのに、このネット時代に、こんなにクリティカルな法案の採決に、我々の民意が反映・吟味されることなく、議論ではなく数の暴力で結論が急がれる、という状況を、心底怖いと思いました。

本来これは国際的災禍を最小限に抑えるためのテクニカルな問題なはずなのに、それを口実に根幹の理念の部分をなし崩しにしてしまった。いや、むしろそれこそが安倍政権の真の意図である、と、そう映るのは、私が単に遠くから眺めているだけだからなのでしょうか?

 

難民問題にしたって、本当に大切なのは、「誰が何人引き受けるか」ではなく、「どうやったら難民を出さずに済むか=戦いを終わらせられるのか」にあることは、誰の目にも明らかです。

 

そろそろ我々も、「誰が儲けさせてくれそうか」より、「誰が本気で戦いをなくそうとしているか、賢く日本を戦いに巻き込まれぬよう導けるか」を真剣に吟味する時が来ていそうです。手遅れでないと信じたい…。

 

次回はウヴェ・シーファーの収穫隊募集のお知らせ>>

 

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