ウィーンの森のワイン・イベント――ゲヌースマイレ参加報告写真日記 前編

<<前回は真面目なエアステ・ラーゲン・プレゼンテーションのクレムスタール編でした

 

打って変わって、今週の日曜には赤ちゃんからペットまで楽しめる:)、ウィーンの森の麓のブドウ畑を巡るお気楽イベント”ゲヌースマイレ”に参加して来ました。

イベントの性格を正しく表す写真:)
イベントの性格を正しく表す写真:)

ゲヌースマイレ――グルメマイルとでも訳しておきましょうか?? 

 

まあとにかく、連続写真でイベントの様子をご覧いただきましょう!

今回は一番人の出るグンポルツキアヒェン~プァフシュテッテン~バーデン間のゴールデン・コース(なんとことはない、私のかつての定番お散歩コース)を外して、一番北のメードリンクから入ってみました。

 

このイベント、入場料のようなものは一切なし。しかも、主要公共交通機関の駅から無料で送迎バンが出ているところが、とってもフレンドリー💛

 

ご覧の通り、畑の中の道沿いにシャンク(立ち飲み小屋)が、ポツン、ポツン、と数百メートルおきに出ています。

最初からお目当てのある人が多いようですが、喉が渇いたら、或は美味しいそうな匂いがしたら寄る、という私のようなパターンもまた楽し。

ライニッシュ、アートナー、アウマン等、ずっと下方の平地が本拠のワイナリーも参加しているところを見ると、森の麓にも畑を所有していれば参加OKの模様。

 

、犬あり赤ん坊あり、幼児あり…でしょう? まあここは誰でも通れる農道なので、歩いてる人が全てゲヌースマイレ目的とは限らないんですけど:)

 

さて、興味のある人のために、地理的説明を少し。

ウィーンの森=Wienerwaldは、ウィーンの西側、クロスターノイブルクの南からバートフェースラウの辺りまで45kmほどにわたり広がる、森とは呼ばれるものの実質的にはアルプス東端の山。大きな教会や修道院が山の奥深くにあり、その下にはお墓、そして避暑地の中に住んでるような風情の高級住宅街が麓に連なります。ブドウ畑はウィーンのヌースベアクやグリンツィング、マウアー、テルメンレギオンのグンポルツキアヒェンやプァフシュテッテン、バーデン、ソースなどの町にあり、畑の周辺にはホイリゲが集まる。

左の方に緑色の字でWienerwaldって見えますね? この一帯の山がウィーンの森。北部、☆の集積するのがウィーン市街
左の方に緑色の字でWienerwaldって見えますね? この一帯の山がウィーンの森。北部、☆の集積するのがウィーン市街

でもって〝ゲヌースマイレGenussmeile"は、森の南側=テルメンレギオンの、北はメードリンクから南はバート・フェースラウまでの、コート・ドールに喩えられる斜面のブドウ畑を貫通する、いわば”グランクリュ街道”(こちらではヴァインシュトラーセ)が舞台。直線距離にして15km弱(結構曲がりくねっているので、実質距離はもっとずっと長いはず)に、ワイナリーがポツポツとシャンク(立ち飲み小屋)を出していて、これらを訪ねて歩く、という実にのどかなイベントです。

上の地図でウィーンの森の南方に、森がちょっと東に飛び出ている辺りがあるでしょう? そこを徒歩で縦断する訳です。参加シャンクは全部で85!!

ゲヌースマイレの案内地図(メードリンク~バート・フェースラウ)も下に貼っておきます。

紫のアイコンがシャンク(重なってしまっていますが)。地図をクリックすると、このサイトに飛びます。
紫のアイコンがシャンク(重なってしまっていますが)。地図をクリックすると、このサイトに飛びます。

解説終わり:)。イベント報告に戻ります。

 

メードリンクの畑がちょっと退屈な窪地の部分に差し掛かり、何度か大きく蛇行するとフライグート・タレルンの立派な建物が見えてくる。

タレルンの畑を過ぎて再び退屈な区画があって、ようやくグポルツキアヒェンの教会が遠くに望めるようになった辺り、畑の向きが東南になり急に視界が開けて、いい斜面が出て来たなぁ…と思っていると、ふいに私を呼ぶ声が!!

 

なんとユッタ・アンブロージッチの旦那さん、マルコではありませんか!! 

 

そうでした! ユッタは確か去年からグンポルツキアヒェンにも畑を借りた、と言っていましたっけ。アペロール・ソーダまで出す"なんちゃってシャンク"もある一方、こういう尖がったワイナリーも混ざっているところが、ゲヌースマイレの、そしてウィーンの森のワイン文化の奥深さというもの。

 

それにしてもさすがにいい区画を選ぶよなぁ、と感心しつつ、『来ているのは訳知りの人ばかリ』みたいなユッタのシャンクで、早速グンポルツキアヒェン名物キュヴェの”ヒンメルファート”をいただく。天国行き?…そそられる名前ではありませんか:)。

訳のわからないシャンクの2倍以上のお値段ながら、それ以上に美味しい!!

心地よいミネラルがスルスルと喉を通って、すぐに飲んでしまったので、2杯目のお勧めを尋ねると、同じヒンメルファートのシュぺートレーゼを注いてくれた。

ユッタは(ウィーンのブドウで造るワインもだけれど)こういう中甘口が本当に素晴らしい!!! …この世代になると、ジエチレングリコール事件のトラウマなんか全然ないから、こういう本気な中甘口が造れるのね。日本市場もいい加減「中甘口は素人のもの」みたいな考え方からは抜け出して欲しいなぁ…。

一休みしたらマルコの切っているローストビーフが俄然魅力的に見えて来たので、ローストビーフサンドも注文(ユッタんとこはウィーンのブッシェンシャンクも食べ物美味しいからね)。

シュペートレーゼをローストビーフに合わせるなんて考えてもみなかったが、これが全然違和感がない…を通り越して旨みと重さが結構両者ピッタリ! ミネラル豊富なワインはとにかく食事を美味しくしてくれる。

支払をしようとすると、マルコは手が汚れるだのなんだのムニュムニュ言ってお金を取ってくれない。観念してユッタにお勘定を頼むと「ワインは私がご馳走するから、ワイン2杯分でローストビーフのお代は済み」ですって。

?????…なんだか申し訳ないようだけど、ユッタ&マルコ、ご馳走さま!! 

 

そうこうするうちにすっかり日が傾き、イベントは日没終了(サイトに時間指定はなく、「暗くなったら」とあった。この辺のゆるさもいかにも:)なので、慌ててグンポルツキアヒェンの町を目指す。

教会の裏手に広がる見事な斜面は、あのメルク大修道院所有ブドウ園。ヴァッハウの奥からこんなに遠いところにわざわざ畑を持つあたり、いかにグンポルツキアヒェンのワインの評価が歴史的に高かったかが伺い知れるではないか。

 

ここから駅まで坂を下り、帰りの電車を待ちました。既に薄手のダウンでは寒いくらいまで気温が下がっており、ブルッ!! カラッと晴れた昼と日没後の急激な冷え方…この調子で行けば今年のブドウは美味しいぞ、とワクワクしながら私は電車とバスを乗り継ぎ、また急な坂を上って、ようやくヒーツィングの山の中のオウチに着きました。ほんと、よく歩いたもんだ。

 

次回はゲヌースマイレを南端から北上します>>